多くの人が陥りがちな最大の落とし穴が、「グツグツと強火で煮込み続けること」です。煮物は加熱中ではなく、「火を止めて温度が下がっていく過程」で食材の細胞内に味がぐんぐんと浸透します。煮汁が沸騰し続けている間は食材から水分が外へ逃げる圧力のほうが強く、どれだけ長く煮ても中心まで味が届きません。
さらに鶏肉は、中心温度が65度を超えるとタンパク質の凝固が進み、75度以上で急激に水分を放出してパサつきを招きます。大根が柔らかくなるまで鶏肉を一緒に強火で煮てしまうと、旨味の抜けた固い肉になってしまいます。大根の下ごしらえを先行させ、鶏肉の加熱時間を最小限にコントロールすることが、ジューシーに仕上げるための鉄則です。