少年期特有の力強いハイトーンボイスから、大人のシンガーへの脱皮を告げた決定打が、マイケル・ジャクソン ファルセットの魅力です。地声から滑らかに切り替わる軽やかな裏声、息遣いそのものをパーカッションのように用いるボーカル・パーカッション、そして突如として挿入される叫び声。これらは後に彼のトレードマークとなるボーカルスタイルの原型となりました。
バッキングを固めるのは、ルイス・ジョンソンによる鋭敏なスラップベース、ジェリー・ヘイが手掛けた緻密なホーンセクション、そしてグレッグ・フィリンゲインズのエレクトリックピアノです。当時のディスコミュージックが機械的なストリングスに頼りがちだった中、本作は生楽器の高度なアンサンブルによって異次元のドライブ感を生み出しました。
この革新的なサウンドは全米チャート(Billboard Hot 100)で1979年10月に見事1位を獲得し、ジャクソン5の「Ben」以来、約7年ぶりとなるソロでの全米制覇を達成します。そして迎えたグラミー賞受賞の経緯において、マイケルは「最優秀男性R&Bボーカル・パフォーマンス賞」を受賞。名実ともに大人のソロアーティストとしての地位を確立しました。