コナンが無表情でパラパラ?『恋はスリル、ショック、サスペンス』誕生秘話

コナンが無表情でパラパラ?『恋はスリル、ショック、サスペンス』誕生秘話

コナンが無表情でパラパラ?『恋はスリル、ショック、サスペンス』誕生秘話について押さえておきたい ポイントを分かりやすい構成で解説いたします。

アニメ第205話から第230話(2000年8月〜2001年4月)にかけてオープニングテーマとして起用された本作。イントロが鳴り響いた瞬間、画面中央に立つ江戸川コナンがカメラをじっと見つめ、一切の笑顔を見せずにパラパラの基本ステップから複雑な腕のコンビネーションを流れるように繰り出す光景は、当時の視聴者に強烈な違和感とインパクトを植え付けました。

関係者の回顧録や当時のアニメ雑誌の制作インタビューによると、この演出を手掛けたのは長年シリーズのプロデューサーを務めた諏訪道彦氏をはじめとする中核スタッフ陣でした。当時社会現象となっていた第3次パラパラブームを取り入れるアイデアが浮上した際、「コナンがノリノリで笑顔で踊るのはキャラクターの性格に合わない」という議論が徹底的になされました。その結果、「新一としてのプライドを持つコナンが、オープニングという大人の舞台に引っ張り出されて仕方なく踊らされている」というアイロニカルな設定が採用されたのです。

さらに注目すべきは、アニメーション作画の手間とこだわりです。当時は3DCGによるモーションキャプチャ技術がアニメ現場に普及する前段階であり、実在のプロダンサーによるパラパラの模範演技をビデオ撮影し、それをアニメーターが1コマずつ手作業でトレースして原画を起こす「ロトスコープ」に近い極めて緻密な作画工程が踏まれました。コナンの蝶ネクタイ型変声機やトレードマークのジャケットの揺れに至るまで精緻に再現されたからこそ、あの独特な「無表情なのにキレッキレ」という唯一無二のグルーヴが生み出されました。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。