1980年代半ばは、1981年創刊の『FOCUS』を皮切りに『FRIDAY』『FLASH』『Emma』などが相次いで参入し、写真週刊誌の総発行部数が毎週数百万部に達していた「ビジュアルスキャンダリズムの全盛期」でした。特ダネと衝撃的な写真をめぐり、各社が熾烈な部数競争を繰り広げていた現場では、現代の感覚では到底容認されない取材行為が常態化していました。
事件直後の現場では、遺体を隠すために警察や関係者がかぶせた段ボールやシートを、一部のカメラマンが足で払いのけて遺体の頭部を撮影したという証言が、当時の現場記者たちの手記や回想録で生々しく告白されています。実際に発売された雑誌には、黒塗りのベタや網掛けといった不十分なマスキング処理のみで、損壊した頭部付近の生々しい輪郭が判別できる写真がそのまま掲載されました。
インターネットが普及した1990年代後半から2000年代にかけて、これらのスキャン画像や無修正の現場ネガがネット上に出回っているという「流出の噂」が2ちゃんねる(現5ちゃんねる)や個人サイトで急速に拡散しました。「無修正の画像が存在する」「現場を撮影した裏ビデオがある」といった言説の多くは、アングラサイトへのアクセス稼ぎや閲覧者の興味を煽るための誇張・捏造でしたが、昭和の紙媒体に刻まれた過激なビジュアルの残像が、デジタル空間で怪談めいた都市伝説として再生産され続けたのが実態です。