閉館から時間が経過した現在でも、地域住民やつばきの湯ファンが集うSNSや地域掲示板には、当時の温もりを懐かしむ投稿が後を絶ちません。利用者の口コミから見えてくるのは、単なる「汗を流す場所」を超えた生活インフラとしての存在感でした。
特に絶大な支持を集めていたのが、滋賀県内のスーパー銭湯では希少価値の高かった本格的な個室家族風呂(貸切風呂)です。バリアフリー設計や広々とした脱衣所を備えた個室は、「介護が必要な高齢の親と気兼ねなく温泉に入れた」「乳幼児がいる家庭でも周囲に気兼ねせず天然温泉を満喫できた」と高く評価されていました。週末になると数時間待ちの予約が入ることも珍しくなく、県外からも家族連れが足を運ぶ名物設備となっていたのです。
また、地下から汲み上げられていた天然温泉は、肌当たりの柔らかな単純温泉系で、湯上がり後もポカポカ感が持続すると評判でした。露天スペースには心地よい外気が吹き抜け、壷湯に浸かりながら甲賀の空を眺める時間は多くのドライバーや地元サラリーマンの極上の癒やしとなっていました。大広間の座敷で提供されていた素朴で温かみのある定食メニューや、地域コミュニティの社交場として機能していたアットホームな空気感こそが、同館が誰からも愛された本質的な理由でした。