気象情報を見る際、一般に広く浸透していながらも決定的な誤解を生んでいるのが「台風の予報円」の解釈です。ネット上では「予報円がどんどん大きくなっているから、台風のサイズが巨大化している」という誤認が後を絶ちません。しかし、予報円の大きさは台風の物理的な大きさを示すものではなく、「台風の中心が70%の確率で入る範囲(進路の不確実性の度合い)」を表しているに過ぎません。
予報円が大きいということは、気象予測モデル間で偏西風の強さや気圧配置の読みが分かれており、それだけ進路がブレる余地が大きいことを意味します。予報円が巨大であるからといって油断してはならず、円の端を通過するルートを辿った場合でも、進行方向右側の暴風域に巻き込まれれば壊滅的な被害が発生します。
もう一つの危険な盲点は、「台風の目から数百キロ離れているから安全」という思い込みです。台風10号のように広範囲から湿った空気を吸い上げるタイプは、外側の雨雲(アウターバンド)が本体から遠く離れた地域に突発的な局地豪雨を降らせます。「まだ台風が遠いから川の様子を見に行く」「側溝の掃除を今のうちにする」といった油断行動が、毎年のように命を落とす悲惨な水難事故の主因となっています。