彼が脱退を決意した当時、年齢は36歳だった。40代という人生の折り返し地点を前にして、多くの表現者が「このままでいいのか」という葛藤に直面する。巨大なシステムの中にいれば、一生安泰な未来が約束されていたかもしれない。だが、その安定こそが、彼にとっては最大の恐怖だったのだろう。
「今挑戦しなければ、一生後悔する」。そんな焦燥感が、彼を突き動かしたことは想像に難くない。若さに任せた無計画な飛び出しではなく、自分の人生の残り時間を逆算した上での、大人の男の冷徹な決断だったのだ。そのタイミングのリアルさが、今もなお多くの同世代の共感を呼んでいる。