長年にわたり全国の鉄路を走り、駅弁を食べ歩いてきた鉄道写真家の櫻井寛氏は、駅弁が持つ魅力を「車窓という最高の調味料とともに味わう総合芸術」と語る。プラスチック容器に入った一般的なテイクアウト弁当とは異なり、地元の食材、伝統の調理法、そして旅情を掻き立てるパッケージデザインが一体となって初めて「駅弁」という文化が完成する。
近年の昭和レトロブームの浸透に伴い、JRグループ各社や地元の老舗製造元は、歴史的価値のある伝統駅弁の保護と再評価に力を入れている。単なるノスタルジーにとどまらず、地域の食文化を次世代へ継承するための重要な観光資源として、昔ながらの手作り製法を守り続ける職人たちの矜持が今改めて見直されているのだ。