講談社「デザート」で連載された玉島ノンによる原作漫画と映画版の間には、尺の都合だけではない明確な設定・構成の違いが存在します。映画版は2時間のパッケージとして「萌衣の心の再生」と「蛯原のトラウマ克服」に焦点を当て、高校在学中の絆の芽生えをクライマックスに据えました。
一方、原作漫画では映画のその先が濃密に描かれています。単行本の最新刊へと至る過程では、萌衣の進路(救急救命士を目指す道など)や、高校卒業後の本格的な交際スタート、さらには蛯原の過去を知るライバルの登場や消防組織内でのリアルな葛藤が丹念に描写されています。原作の蛯原は漫画ならではの少し不器用で甘い表情を見せる場面も多く、映画版のストイックで頼れる隊長像とは一味違う一面を楽しむことができます。
映画で描かれたのは原作のいわば「第一幕」。二人の本格的な恋の試練や大人の階段を上る萌衣の成長を追いたいファンにとって、原作コミックスの読破は外せないステップとなっています。