サム・クックの音楽的転換点となったのは、激烈を極めた公民権運動との深い関わりであった。特に、激動の時代をリードした指導者マルコムXとの交流は、彼の楽曲制作に決定的な影響を与えている。
ボブ・ディランの「風に吹かれて」を聞いたクックは、白人シンガーが人種問題をこれほど見事に歌い上げていることに強いショックを受け、同時に「なぜ黒人である自分がこの歌を書かなかったのか」という激しい焦燥感に駆られたという。マルコムXとの度重なる討論を通じて、彼はポップスターとしての地位を投げ打つ覚悟で社会変革のメッセージを歌う決意を固めた。その熱情が結実した楽曲こそが「A Change Is Gonna Come」に他ならない。