鬱蒼とした杉木立に包まれた標高929メートルの神域に足を踏み入れると、張り詰めた霊気が肌を撫でます。数多の霊峰を抱える関東において、なぜ武蔵御嶽神社パワースポットの理由がこれほどまでに特別視されるのか。その起源は、古代日本の英雄・日本武尊の東征伝説に深く刻まれています。
社伝の記録によると、日本武尊が甲斐国から武蔵国へと山越えをする際、邪神が化けた白鹿に道を惑わされ、深い山中で濃霧に阻まれました。その危機を救ったのが忽然と姿を現した一頭の白狼でした。白狼は尊の軍勢を正しい道へと導き、尊は「大口真神(オオクチノマガミ)としてこの地に留まり、魔を祓え」と命じたと伝えられています。これが、盗難除けや火防、魔除けの神として崇められる大口真神おいぬ様信仰の始まりです。
中世から江戸時代にかけては修験道の道場として栄え、関東一円の農民たちから「猪や鹿の害を防ぐ山の守護神」として絶大な信頼を勝ち得ました。一般的な神社に並ぶ狛犬の代わりに、引き締まった筋肉と鋭い牙を持つ「狼の像」が鎮座する光景は、山岳アニミズムの原風景そのものです。風水や地脈の観点からも、秩父山系から武蔵野平野へと大地のエナジーが流れ込む要衝に位置しており、悪霊を退け生命力を再生させる武蔵御嶽神社ご利益の強大さには、神道学者や民俗学研究者も太鼓判を押しています。