足立ナンバーを取り巻く環境が激変する決定打となったのが、2020年5月に導入された国土交通省の「地方版図柄入りナンバープレート(ご当地ナンバー)」第3弾でした。このタイミングで、長年足立ナンバーを装着していた江東区と葛飾区が、それぞれ江東ナンバー変更および葛飾ナンバー変更へと舵を切ったのです。
特に話題を呼んだのが江東区の動きでした。有明、豊洲、東雲といった湾岸エリアに超高層タワーマンションが相次いで建設され、都心勤務の高所得層が大量に流入。「億ションに住み、高級輸入車を所有しているのに、ナンバープレートが『足立』であることに違和感がある」という住民の声が自治体アンケートなどで顕在化しました。江東区が実施した区民意向調査でも、新ナンバー導入への賛成意見が圧倒的多数を占め、即座に「江東ナンバー」が誕生することとなりました。
一方の葛飾区は、国民的漫画『キャプテン翼』をあしらったご当地プレートを導入し、下町カルチャーと地域愛を全面に押し出す戦略を取りました。この2区の離脱は、従来の足立ナンバー圏に大きな心理的変化をもたらしました。「ステータス意識から離脱した江東」と「文化的アイデンティティを選んだ葛飾」。その結果として残された足立管轄は、奇をてらわない純粋な実用生活圏としての性格をより鮮明にすることになりました。
現在でも、江東区や葛飾区の中古車ディーラーでは「購入時に従来の足立ナンバーのまま乗り続けることはできるか」という相談が稀に寄せられますが、管轄変更の手続きに伴い、名義変更や住所変更を行うと自動的に新ナンバーへ移行します。この分離によって、足立ナンバーの過度な混在感が整理されたことは見逃せません。