施工の成否を分けるのは、アンカーを打ち込む前の「下準備」に他ならない。壁を無駄に傷つけず、規定通りの耐荷重を引き出すための黄金手順を紹介する。
最初のステップは、壁裏の探査だ。いきなり穴を開けるのは論外である。まずは下地探しセンサーを壁に滑らせ、内部の柱の位置を正確にマッピングする。針式の下地探しも併用し、確実に空洞部分であることを突き止めたら、鉛筆で薄くマーキングを行う。
次に、下穴あけの工程へ移る。ねじ込み式アンカーであればドライバーで直接ねじ込めるタイプもあるが、石膏の破断面を綺麗に保つには、指定径のドリルビットで正確に下穴を開けるのがプロの裏ワザだ。ボードの表面紙が毛羽立たず、アンカーがまっすぐ垂直に進入していく。
アンカーを挿入する際は、電動ドライバーのクラッチ設定を最弱にするか、最後は必ず手回しドライバーで締め込む。電動工具の強烈なトルクで締め込みすぎると、石膏の内部をえぐり取ってしまい、アンカーが空回りして強度が完全にゼロになるからだ。「手応えがグッと固くなったところで止める」。この指先の感覚が、脱落事故を防ぐ防波堤となる。