大作曲家ピョートル・チャイコフスキーが劇場の依頼を受けて本作を書き上げた際、彼は従来のバレエ音楽の枠組みを大きく踏み出した。当時の楽壇からは「踊りにくく難解すぎる」と酷評されたものの、楽曲自体のドラマ性は群を抜いていた。彼の死後、その才能を再評価し歴史的復活を成し遂げたのが、名振付家マリウス・プティパである。
プティパはアシスタントのレフ・イワノフと共に、音楽の拍動に完璧にシンクロする美しいシンフォニック・バレエへと再構築した。オデットの儚げな腕の動きや、32回転のアティチュード・ターンのような技術的見せ場は、この奇跡的な再構成によって生み出されたものだ。