長靴は履かない。雨が降ればカッパを着て水たまりに飛び込む。学園の森どろんこ保育園が実践する「どろんこ保育プログラム」は、徹底した現場主義に基づいている。園庭には人工芝など一切敷かれておらず、凹凸のある土山、小川を模した水路、そして動物たちが同居する生きた空間が広がる。
過保護な安全管理に慣れた大人の目には、一見危なっかしく映るかもしれない。だが、そこには計算された発達支援のロジックが存在する。滑りやすい泥の上でバランスを取ることで体幹と足腰の感覚受容器が鍛えられ、段差で転ぶ経験が大きな怪我を防ぐ身のこなしを育む。机の上のドリルでは決して測れない「非認知能力」や「レジリエンス(回復力)」が、泥まみれの日々のなかで確実に刻まれていく。