街を歩けば、最新のスマートフォンをポケットに仕舞い、プラスチックの小さなカメラを愛おしそうに構える姿を頻繁に見かけるようになった。SNSにおけるフィルム写真関連の投稿数は2026年に入っても勢いを増すばかりで、海外のクリエイターや旅行者が来日した際に「日本で購入すべき必須アイテム」として指名買いすることも珍しくない。
過剰なまでに鮮明で、瞬時に修正・削除ができてしまうデジタル画像に対するカウンターとして、不完全さや「その瞬間しか撮れない緊張感」を求める心理が働いている。シャッターを1回切るごとにジーコジーコとダイヤルを巻く感触。残りの撮影枚数を示す小窓の数字が減っていく切なさ。フィルム特有の温もりある質感は、高度にデジタル化された社会における一種の癒やしとして機能しているのだ。