代表曲「誰より好きなのに」を抜きにして、彼女のソングライティングを語ることはできない。1996年のリリース以来、数々のアーティストによってカバーされ、時代を越えて歌い継がれてきたこのバラードには、ポップソングにおける「普遍の公式」が潜んでいる。
メロディラインの美しさはさることながら、特筆すべきは対比の巧みさだ。言いたいけれど言えない、近くて遠い距離感。言葉を選びながらも溢れ出してしまう情感のグラデーションが、聴き手の胸の最も柔らかい部分を突く。SNSのメッセージ一つで簡単に繋がれるようになった2026年の今だからこそ、行間に漂う「もどかしさ」がより一層の切実さをもって響くのかもしれない。