「小さな傷だから次の車検まで放置しよう」という判断は、極めてハイリスクな選択です。フロントガラスは走行中の風圧だけでなく、路面からの突き上げ振動、そして外気温とエアコンによる内気温の温度差によって常に微細な伸縮を繰り返しています。特に冬季のデフロスター使用時や夏季の炎天下での急激な冷房作動は、傷口に応力集中を引き起こし、ほんの数秒で傷が数十センチにわたる「ロングクラック」へ破断進行する主因となります。
道路運送車両法に基づく保安基準(第29条)において、フロントガラスは「運転者の視野を妨げないこと」「容易に貫通されないこと」が厳格に定められています。飛び石による傷が存在する場合、車検適合の可否は検査員の目視判断に委ねられますが、未補修のままヒビ割れが残っている状態では、ほぼ100%車検不合格となります。
一方、適切にウィンドリペアが施され、レジンが完全に硬化して強度と視認性が回復していれば、光の当たり具合によってわずかな修復痕が確認できる状態であっても車検を通過することが可能です。「傷を直さず車検を通す裏技」は存在せず、車検直前に発覚して慌てて高額なガラス交換を手配する事態を避けるためにも、発見即時の補修が鉄則です。