妊活に取り組むカップルの間では、「排卵痛を感じた当日にタイミングをとれば妊娠確率が上がるのか」という議論が頻繁に行われます。生殖医療の観点から見ると、痛みのタイミングと最適な受精可能期間にはわずかなズレが存在します。
卵子の寿命は排卵後およそ12〜24時間(受精に適した時間はさらに短い)であるのに対し、精子の生存期間は女性の生殖器官内で約2〜3日(最長5日)とされています。したがって、痛みがピークを迎えた「排卵直後」にタイミングをとるよりも、排卵痛を感じる1〜2日前(排卵前)にあらかじめ精子が卵管で待機している状態を作ることが最も受精率を高める鉄則です。
なお、「排卵痛が着床や妊娠の初期兆候である」という解釈は医学的には誤りです。排卵痛はあくまで卵子が放出される際の現象であり、受精卵が子宮内膜に着床して「妊娠」が成立するのは排卵から約7〜10日後です。排卵期の痛みを過信しすぎず、基礎体温の二相性や排卵検査薬の陽性反応と併せて総合的にタイミングを計ることが推奨されます。