彼女の代表作を語るうえで外せないのが、映画『37セカンズ』で見せた熱演だ。障がいを持つ娘を愛するがゆえに葛藤し、縛り付けてしまう母親の複雑な心境を、痛々しいほどのリアルさで演じきった。自己犠牲と執着が入り混じる危うい愛の姿は、国内外の観客に強烈な衝撃を与え、多くの映画賞や称賛へとつながった。
一方で、テレビの世界でもその手腕はいかんなく発揮されている。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で演じた丹後局役では、後白河法皇の側近としての威厳と、政治の裏で糸を引くしたたかな知性を静謐な凄みとともに表現してみせた。画面に映るわずかな時間であっても、歴史の陰影を色濃く残すその演技は、視聴者の記憶に強く刻まれている。