長らく高解像度と大型センサーの独壇場だった写真映像産業も、この奔放な撮影トレンドから多大な影響を受けている。かつてローアングルを狙うには、アングルファインダーを覗き込むか、地面に這いつくばる必要があった。しかし、薄型軽量で直感的な操作が可能なスマートフォンは、撮影者の身体的制約を完全に無効化した。
映画監督やプロのフォトグラファーが、ロケハンや実際の撮影現場においてポケットから端末を取り出し、逆さに構えてアングルを探る光景はもはや珍しくない。機材のヒエラルキーは崩壊し、いかに自由な視点を獲得できるかという「視覚の柔軟性」こそが、クリエイティビティの真価を問う基準となっている。