1945年の敗戦後、日本の支配構造を根本から破壊しようとしたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が真っ先に標的としたのが財閥だった。「軍国主義を支えた経済的温床」と断定された財閥は、本社の強制解体、同族一族の追放、株式の公開という劇薬を投与される。日本経済史における最大の地殻変動だ。
バラバラに解体された企業群。だが、彼らは完全に消滅したわけではなかった。サンフランシスコ平和条約締結後、かつての傘下企業は「社長会」を軸に再び集結し始める。持株会社による強権的な支配は禁じられたものの、互いに株式を持ち合い、情報と資金を共有する「企業集団(けいれつ)」へと姿を変えたのだ。
この過程で世界でも類を見ない進化を遂げたのが総合商社だ。ラーメンからロケットまでを扱う強靭な情報網と物流網は、かつて財閥の商事部門が担っていた機能を高度に昇華させたものであり、日本の高度経済成長を牽引するエンジンとなった。