日本放送協会(NHK)が1993年に放送を開始した『天才てれびくん』。単なる放課後の娯楽にとどまらず、日本のテレビ放送業における子ども向け教育・バラエティ番組のあり方を根底から塗り替えた。台本通りに動くだけの子役番組ではない。突発的なアクシデントに戸惑い、葛藤しながらも自らの言葉で語るてれび戦士たちのリアルな生態が、同世代の心を掴んで離さなかった。
この番組がユニークだったのは、プロの演者としての訓練と、思春期の人間的な成長が完全に同居していた点だ。学校とスタジオを往復しながら、過酷なロケや生放送のプレッシャーを潜り抜ける。そこで鍛え上げられた度胸と即興力、そして仲間との協調性は、一般的な芸能スクールでは到底得られない強烈な原体験となった。ここで育った人材が、後に対峙するエンターテインメント界やビジネス界で突出した粘り強さを発揮するのも至極当然と言える。