2010年代以降、エンターテインメント業界はこのテーマをタブーから大衆的な文化へと昇華させた。世界的社会現象を巻き起こした映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』は、支配・被支配の関係性が持つ官能性と心理的トラウマの克服を同時に描き、大衆の価値観を大きく書き換えた。
それ以前にも、カルト的な名作として名高い映画『セクレタリー』が、不器用な男女が特異な主従関係を通じて心の平穏を取り戻していく姿を繊細に切り取っている。今やNetflixやAmazonプライム・ビデオといった主要配信プラットフォームでも、複雑な人間関係やパワーダイナミクスをテーマにしたドラマ群がランキング上位を独占する。支配と服従は、もはや日陰の嗜好ではなく、人間の多層的なメンタリティを表現するための普遍的なモチーフとなった。