「テレビにLANケーブルを挿していなければ、電波の一方通行受信だから絶対にばれない」という言説は、アンダーグラウンドで都合よく拡散されてきた危険な俗説です。警察や放送事業者が不正視聴者を特定するルートは、テレビ側の通信機能だけに依存しているわけではありません。
1. 改造業者・転売者の検挙に伴う「顧客リスト・押収データ」の追跡
最も多く、かつ決定的な発覚パターンは、ブラックバスカス販売の検挙に伴う購入者リストの押収です。警察庁および各都道府県警のサイバー犯罪対策課は、フリマアプリ、オークションサイト、アンダーグラウンド掲示板で改造カードや書き換えツールを販売する元締めを徹底的にマークしています。
販売者が逮捕された際、パソコンやスマートフォン、取引履歴、銀行口座の入出金記録、配送先住所録がすべて押収されます。捜査当局はこれらの証拠から改造B-CAS購入者の警察捜索を順次進め、実際に「購入しただけ」の一般ユーザー宅にも警察官が令状を持って家宅捜索(ガサ入れ)に入る事例が相次いでいます。
2. EMM(個別契約情報)とワークキー(Kw)更新による一斉遮断
有料放送の暗号化(スクランブル)は、定期的に切り替えられる暗号鍵「ワークキー(Kw)」によって制御されています。WOWOWやスカパー!などの事業者は、海賊版カードが出回るたびに放送波を通じてEMMワークキー更新の仕組みを発動させます。
正規の契約者には自動で新しい鍵が配信されて視聴が継続しますが、改造カードは新しい暗号鍵に対応できず、ある日突然画面がブラックアウトします。この際、焦った利用者がサポート窓口へ問い合わせたり、ネット上で再書き換えプログラムを探して痕跡を残したりすることで、更なる足取りを掴まれるケースが頻発しています。
3. 双方向通信(dデータ・Hybridcast)によるアクセスログの送信
現在普及しているデジタルテレビのほとんどは、LANケーブルやWi-Fi経由でインターネットに常時接続されています。データ放送(dボタン)の双方向通信やHybridcast機能を利用した際、テレビ内部のB-CASカードIDとアクセスログが放送局側のサーバーに自動送信される設計になっています。
放送局側でB-CASカード契約情報照合が行われた際、「契約が存在しないカードIDから、有料番組に関連する双方向通信データが送られてきている」という異常ログが検知され、不正利用端末としてマークされます。