「Vシネマ」という呼称は、もともと東映が1989年に立ち上げたビデオ専用映画レーベル「東映Vシネマ」という登録商標に由来します。一般家庭へのVHSビデオデッキの普及に伴い、「劇場公開を行わず、最初からレンタルビデオ店向けに供給されるオリジナルビデオ作品(OV)」として誕生しました。他社からも同様のビデオ映画(大映の「大映VIDEO-MUSEUM」や松竹の「松竹ホームビデオ」など)がリリースされましたが、東映のインパクトがあまりに強烈だったため、業界全体のオリジナルビデオ作品を総称して「Vシネマ」と呼ぶ文化が定着しました。
劇場公開映画や地上波テレビドラマとVシネマの間には、企画・制作から流通に至るまで明確な構造的差異が存在します。それぞれの決定的な違いを整理したデータは以下の通りです。
最大の特徴は、「映画館の興行収入に依存せず、制作段階でレンタル店への初回出荷本数によりある程度の採算ラインが見通せた」という点にあります。この手堅いビジネスモデルがあったからこそ、スポンサーの顔色をうかがう必要がなく、尖った企画やタブーなテーマをダイレクトに映像化できる自由が保障されていたのです。