『相棒』のレギュラーを離れて以降、六角精児は映像業界において極めて異彩を放つマルチバイプレイヤーとして確固たる地位を築いています。地上波の連続ドラマへのゲスト出演はもちろん、映画や舞台のバイプレーヤーとして引っ張りだこである一方、本人が長年情熱を注いできた音楽活動と鉄道趣味が、完全に独自のプロフェッショナルな仕事として結実しています。
とりわけ注目すべきは、自らボーカルとアコースティックギターを務める「六角精児バンド」の目覚ましい躍進です。下北沢のライブハウスを原点としながら、フォーキーで哀愁漂うブルース調のオリジナル楽曲は音楽通の間でも評価が高く、定期的な全国ツアーや大型音楽フェスへの出演を精力的に継続。自らの借金やギャンブル、四度の結婚歴といった波瀾万丈の人生経験を赤裸々に歌い上げるステージは、往年の相棒ファンだけでなく若い音楽ファンの心をも掴んでいます。
さらに、NHK BSを中心に放送されているライフワーク番組『六角精児の呑み鉄本線・日本旅』は、地方鉄道と酒蔵をマイペースに巡る唯一無二の紀行ドキュメンタリーとして長寿番組へ成長しました。飾らない人柄と、酒・鉄道・音楽への妥協のない偏愛が生み出す空気感は、テレビ業界でも替えの利かない独自のブランドを確立しています。米沢守という国民的当たり役のイメージに縛られることなく、自分自身の表現者としてのアイデンティティを開花させた姿がそこにあります。