東大生の生活を最も支配するのが、2年次夏に実施される東大進学選択(進振り)の仕組みと底点です。進学選択では、1年次から2年次Sセメスター(夏学期)までの成績を数値化した「基本平均点」をもとに、希望学部の定員枠を競い合います。このとき、ボーダーラインとなる最低成績を「底点」と呼びます。
東大工学部・理学部・農学部の進学振り分け難易度は、各学科の人気と直結しています。近年の傾向として、情報系分野の需要爆発に伴い、工学部システム創成学科、電子情報工学科、計数工学科、航空宇宙工学科などの底点が跳ね上がっています。理学部では物理学科や数学科、情報科学科が伝統的に高得点(平均80点台後半〜90点近傍)を要求されます。
ここで重要になるのが、「指定類枠」の存在です。例えば、工学部の人気学科の定員は大半が理一枠として確保されており、理二からこれらの学科に進もうとすると、数名しか枠がない「全科類枠」で理一の優秀層を凌駕する超高得点を叩き出さなければなりません。
そして受験界で都市伝説のように語られるのが、東大理科二類から医学部への進学条件と真相です。制度上、理科二類から医学部医学科へ進む枠(全科類枠等)は毎年数名分(通常3名程度)用意されています。しかし、この数席を勝ち取るための戦いは「東大内で最も過酷な成績争い」と呼ばれています。
実際の選考データによると、理二から医学部医学科へ内定するための底点は、ほぼ毎年のように平均92〜94点以上という驚異的な数値に達します。東大の成績評価で「優(80点以上)」を揃えるだけでなく、履修するほぼすべての科目で最高評価の「優上(90〜100点)」を獲得し続ける必要があります。「理三の入試で落ちるリスクを避けて理二に入り、進振りで医学部を狙う」という戦略は、理論上可能であっても、実質的には理三に直接合格するよりも過酷な茨の道であるというのが学内の共通認識です。