「スーパーで生のぼんじりを買って焼いてみたが、生臭くて食べられなかった」という失敗談は、料理初心者の間で頻繁に聞かれます。その最大の原因は、鶏の分泌器官である「油壺(あぶらつぼ)」の処理を怠ったことにあります。
油壺とは、鳥類が羽毛を保護し防水性を保つために脂を分泌する「尾脂腺(びしせん)」のことです。鶏はこの分泌腺からクチバシで油を取り、全身の羽に塗りつけます。この器官には凝縮された黄色い油脂が詰まっており、加熱すると特有の強い獣臭と雑味を放ちます。名店と呼ばれる焼き鳥店では、この油壺の処理に最も神経を注いでいます。
ステップ1:ぼんじり油壺の処理方法(完全除去の手順)
市販されているぼんじりの先端、あるいは肉の割れ目部分を指で広げて確認します。内部に左右対称に存在する米粒大から小豆大の黄色い塊(丸い油の袋)が油壺です。
包丁の刃先、または切れ味の良いキッチンバサミを使い、この黄色い組織を袋ごと傷つけないように抉り取るように切り落とします。途中で油袋を破いてしまうと中の分泌液が肉の表面に付着するため、破れた場合は流水で直ちに洗い流してください。
ステップ2:ぼんじりの骨の取り方(可食部を美しく残す技)
精肉店や卸売で購入した未処理のぼんじりには、中心に逆V字型の小さな尾骨(中骨)が残っています。業務用の下処理済み品でない場合は、以下の手順で取り除きます。
三角形の平らな面を下にして置き、中央にある硬い骨の感触を指で確かめます。骨の左右両側に包丁で浅く切れ込みを入れ、骨の先端をキッチンペーパーでつまんで引っこ抜くように削ぎ落とします。なお、軟骨のコリコリした歯ごたえを好む職人は、先端の硬い骨だけを除去し、軟骨質の部分をあえて残して串打ちするケースもあります。
ステップ3:完璧なぼんじりの臭み取りテクニック
油壺と中骨を除去した後は、徹底的なぼんじりの臭み取りを行います。ボウルにぼんじりを入れ、全体に軽く料理酒(または清酒)と塩をもみ込み、約5〜10分間置きます。表面に浮き出た余分な水分とドリップをキッチンペーパーで完全に拭き取ることで、仕上がりの透明感が劇的に向上します。
ステップ4:家庭でできる極上の焼き方(脂を落としてカリッと仕上げる)
フライパンで調理する場合、油を引かずにコールドスタート(火をつける前の冷たいフライパンに並べる)するのが最大のコツです。弱中火でじっくり熱を通していくと、ぼんじり自体の脂肪が大量に溶け出してきます。出てきた脂をキッチンペーパーでこまめに吸い取りながら焼き上げることで、脂っこさを抑え、揚げ焼きのように外皮をパリパリのクリスピー食感に仕上げることができます。