ネット上の情報の中には、事実と異なる憶測や誤解も一部散見されます。歴史的経緯と一次情報に基づき、よくある誤解を是正します。
第1の誤解は、「大統領来日のために作られた即席の特別メニューだった」という言説です。実際にはそうではありません。コルビージャックチーズバーガーは、店舗の創業期から看板メニューとして磨き上げられていたレギュラー商品でした。外務省や関係者が事前にお忍びで都内の名店を食べ歩き、「日本で最高峰の本格アメリカンバーガー」として選定されたのが同店の既存メニューだったのです。つまり、便乗商売ではなく、実力で勝ち取った栄誉でした。
第2の誤解は、「トランプ大統領がジャンクフード好きだから安易に選ばれた」という偏見です。外交儀礼において首脳の好みを反映するのは鉄則ですが、提供されたのは添加物や加工品に頼る大衆的ファストフードとは対極にある、素材と技法を極めた「クラフト料理」でした。アメリカ人が愛するソウルフードを、日本の職人が究極の鮮度と技術で昇華させて振る舞う――これこそが、当時の外交チームが仕掛けた高度なホスピタリティの真相でした。