Google検索やSNSの検索窓に「ピンクレディー リンゴ」と打ち込むと、サジェストに「まずい」という不穏なキーワードが浮上することがあります。現場取材と消費者アンケートのデータを分析すると、この悪評の根底には「購入時期の誤り」と「日本特有の味覚バイアス」という明確な2つの原因が存在することが判明しました。
第一の原因は、収穫直後の「未熟感」によるものです。ピンクレディーは極晩生種であり、日本国内では11月下旬から12月上旬にかけて収穫されます。しかし、木から収穫したばかりの果実は酸度が0.9%近くあり、糖度が十分に蓄積されていても酸味が勝りすぎて「ただ酸っぱくて硬いだけ」と感じてしまいます。
第二の原因は、昭和から平成にかけて定着した「日本のフルーツ=酸味がなく砂糖のように甘いものが正義」という刷り込みです。イチゴやブドウ、ミカンに至るまで減酸育種が進んだ結果、多くの消費者はリンゴに鋭い酸味を想定していません。そのため、ふじのような優しい甘さと溢れる果汁を期待して購入したライト層が一口食べて拒絶反応を示し、Web掲示板やレビュー欄に「まずい」「硬すぎる」と書き込む構図が生まれています。
しかし、本場ヨーロッパやオーストラリアでの評価は正反対です。欧米では「リンゴは酸味と食感を楽しむもの」という共通認識があり、さらに料理や製菓、肉料理のソース、チーズのアテとしても重宝されます。後述する適切な追熟を経たピンクレディーは、濃厚な蜜のようなコクと芳醇なアロマが立ち上がり、リンゴ通を唸らせる極上のフルーツへと変貌を遂げます。