この美意識の地殻変動は、カルチャーにとどまらず巨大な産業をも動かしている。美容・コスメ業界では、性別をターゲットの基準としない「ジェンダーレスビューティー」が定着した。性別による売り場の分断はなくなり、スキンケアからカラーコスメに至るまで、肌トーンや骨格に合わせたパーソナライズが主流となっている。
ファッション・アパレル業界でも同様のパラダイムシフトが進行中だ。メンズ・ウィメンズの枠を解体したユニセックスなコレクションや、ドレープを活かした流麗なシルエットが支持を集める。装飾で誇示するのではなく、素の佇まいを引き立てるミニマリズムへの回帰。それは、自身の個性をありのままに慈しむという現代の価値観と深く結びついている。