多くの回復者が後日振り返る「治るきっかけ」には、いくつかの共通点が存在します。ネット上のコミュニティや手記、特番インタビューなどで語られた生の声から、回復の分岐点を検証します。
ある20代女性の克服手記にはこう記されています。
「『食べないと死ぬよ』と脅されたときは反発しかなかった。でも、髪がごっそり抜け、真夏でも震える寒さに直面し、『このままでは私の人生の時間がすべて体重の計算だけで終わってしまう』と強烈な虚しさを感じた瞬間が、治したいと本気で思えた最初の転換点でした」
また、別の当事者は対人関係のあり方の変化をきっかけとして挙げています。
「母が私の食事の量を監視するのをやめ、『あなたがどんな体型でも、元気で生きていてくれればそれでいい』と泣きながら言ってくれたとき、母の期待に応えるために痩せ続けようとしていた呪縛が解けました」
回復者の生の声から浮き彫りになるのは、「体重をコントロールすることで得ていた偽の達成感」よりも「本来やりたかった夢や大切な人とのつながり」の方が価値があると気づいた瞬間に、治療への主体的な意欲が生まれるという事実です。