彼らは誰彼構わず攻撃を仕掛けるわけではありません。周囲を鋭く観察し、自らの自己愛を満たしやすい「標的」を無意識に選び分けます。
臨床現場や労働相談の現場から浮き彫りになるターゲットにされやすい人の特徴には、明確な共通項があります。責任感が強く、他者への配慮に長け、自己主張を控えて「自分が至らないのではないか」と内省する傾向を持つ誠実な人物です。こうした良心的な気質は、自己愛者にとって「どれだけ理不尽を押し付けても逆襲してこず、罪悪感を植え付けやすい絶好の供給源」と認識されてしまいます。
家庭内や親密な人間関係においてこの搾取が常態化すると、被害者はカサンドラ症候群の症状と対策を真剣に検討せざるを得ない精神的危機に直面します。カサンドラ症候群とは、情緒的な交流が通い合わない相手と生活を共にする中で、心身の不調(慢性的な抑うつ、不眠、頭痛、自己喪失感)を呈する状態を指します。
「家庭外では立派な人を通しているため、周囲に苦しみを打ち明けても『あなたが神経質なだけでは?』と理解してもらえない」という二次被害が、孤立を一層深めさせます。対策の第一歩は、自分が異常なのではなく「病理的な関係性によって心が麻痺させられている」という事実を自覚し、外部の専門家や自助グループへ繋がりを取り戻すことです。