スクリーニング検査の結果をめぐっては、医療者と受診者の間で激しい認識の温度差が生じがちです。総合健診センターの第一線で働く保健師や看護師の証言、そしてSNSや相談コミュニティに寄せられる受診者の切実な生の声から、医療現場の実態が浮かび上がってきます。
健診センターに勤務するベテラン保健師は、次のように現場の葛藤を吐露します。
「判定表に『D2:要精密検査』と記載した途端、受診者の方から泣きながら『私はあと何ヶ月生きられるのですか』と電話がかかってくることがあります。一方で、前立腺のPSA検査や便潜血検査で引っ掛かっても『痛いところは何もないから平気』と受診勧奨を完全に無視する方も少なくありません。極端な悲観と正常性バイアスの二極化が、保健指導の現場で最も頭を悩ませる問題です」
インターネット上の相談窓口や知恵袋、SNS上でも、スクリーニング結果に翻弄されるユーザーの告白が溢れています。
「健診の胃部X線(バリウム)で陰影不整の判定が出て、生きた心地がしないまま胃カメラを受けました。結果はただの胃底腺ポリープで良性。『心配して損した』と脱力しましたが、医師からは『スクリーニングはそういうもの。異常なしを確認できたこと自体が最大の収穫ですよ』と諭されました」 (30代会社員・男性)
こうした現場の証言が物語るのは、検査数値そのものの異常さではなく、「スクリーニングという仕組みに対するリテラシーの不足」が受診者に不要な苦痛を与えているという現実です。