指導された際や相談を持ちかけられた際、なぜ本人は無自覚のまま「でも」「だって」と言い返してしまうのか。このでも・だってが無意識に出る心理の根底には、心理学でいう「防衛機制(Rationalization:合理化)」が強固に働いています。自尊心が傷つくことへの強い恐怖や、自己の能力不足を直視したくないという無意識の抵抗が、条件反射的な反論となって口から飛び出す仕組みです。
言い訳が多い人の心理を臨床心理学や行動分析の観点から掘り下げると、原因の所在を外部に求める「外延的帰属(External Attribution)」の傾向が顕著です。ミスが生じた際に「指示が曖昧だった」「スケジュールに無理があった」と環境や他者のせいにすることで、精神的な安定を保とうとします。本人は自衛のつもりであっても、受け手側には「反省の色がなく、同じ過ちを繰り返す人物」と映るため、上司がイライラする理由の第一位として挙げられ続ける要因となっています。
さらに「忙しい」を口癖にする心理的背景には、自己有用感を誇示したいという屈折した承認欲求や、仕事を断る正当な理由を作りたいという回避行動が隠されています。真に業務量が多いのではなく、マルチタスクを整理する認知的能力の飽和状態を「多忙」という便利な言葉で覆い隠しているケースが大半を占めています。