トランペットを始めたばかりの人が必ず抱く疑問が、「下のド、ソ、上のド、さらに高いミやソまで、すべて同じ『開放(0)』の指使いなのに、なぜ吹き分けられるのか」という点です。そして同時に、「ドを吹こうとしたのにソが鳴ってしまう」「高音のソが掠れて出ない」というミスが頻発します。
金管楽器は、1本の管の中で唇を振動させることで、自然倍音(ハーモニクス)と呼ばれる複数の音を発生させます。ピストンを全く押さなくても、唇の振動数や呼気の圧力によって以下の音が順番に鳴る構造になっています。
- 第2倍音:低いC(実音B♭2)
- 第3倍音:中音G(実音F3)
- 第4倍音:中央C(実音B♭3)
- 第5倍音:高音E(実音D4)
- 第6倍音:高音G(実音F4)
- 第8倍音:ハイC(実音B♭4)
つまり、音が外れる原因の9割以上は「指のミス」ではなく「狙った音の倍音に対する息のスピードとアパチュア(唇の開き具合)の不一致」にあります。高音になればなるほど倍音同士の間隔が狭くなるため、指だけに頼らず、頭の中でしっかり鳴らしたいピッチをイメージ(ソルフェージュ)してから息を吹き込む習慣が欠かせません。