出産・育児に関する情報空間には、古くからの言い伝えと現代の商業主義が入り混じった根強い誤解が散見されます。その最たるものが「安産祈願は妊娠5ヶ月目の最初の戌の日、かつ大安でなければご利益が薄れる」という固定観念です。
神社関係者および産科医療関係者の間では、この「吉日縛り」によって妊婦が体調を崩すリスクが問題視されています。戌の日は12日ごとに巡ってくるため、月に2〜3回存在します。それが週末や大安と重なる日は年に数回しかありません。その稀少な日取りに参拝者が殺到し、数千人規模の密集が発生する構図です。
神道において最も尊ばれるのは「心身を清浄に保ち、無理のない誠の心で祈る」姿勢です。水天宮でも日枝神社でも、公式に「戌の日以外の参拝であっても神徳に一切の違いはない」と明言されています。5ヶ月目に入った最初の戌の日に自宅で腹帯を巻き、実際の参拝は体調の安定した平日の午前中を選ぶのが、現代の賢明な参拝スタイルと言えます。
また、境内写真撮影のトラブルも後を絶ちません。水天宮は境内全域でのプロカメラマンによる出張撮影を厳格に禁止しており、外部業者を伴って訪れた参拝者が警備員に制止されるトラブルが頻発しています。「せっかく着物をレンタルしてプロを呼んだのに一枚も撮れなかった」という後悔を避けるためにも、境内の撮影制限を正しく把握しておく必要があります。