臨床の教科書や医療データベースに収められた強皮症の初期症状の写真を精査すると、発症初期において最も高頻度に記録されているのが「色調の変化」と「組織のむくみ」です。最初から皮膚がカチカチに硬くなるわけではなく、皮膚が硬化を始める前段階(浮腫期)にこそ、見逃してはならない臨床的兆候が現れます。
その筆頭が、患者の90%以上に初発症状として現れる強皮症のレイノー現象の写真に見られる劇的な色の変化です。寒冷刺激や精神的緊張によって末梢血管が発作的に収縮し、血流が途絶えることで引き起こされます。典型例では、まず指先が血の気を失って「蝋燭のような蒼白」へと急変します。次いで酸素欠乏状態を示す「チアノーゼ(紫色)」へと移り変わり、血流が再開すると一気に「紅潮(鮮やかな赤色)」へと戻るという、三相性のカラーチェンジを示します。単なる冷え性との決定的な違いは、指の第一関節から先が定規で引いたように境界明瞭に変色し、激しいしびれや痛みを伴う点にあります。
レイノー現象に続いて現れるのが、強皮症の手指の腫れと浮腫(Puffy fingers)です。朝方に手がこわばり、握りこぶしを作れなくなる状態から始まります。写真で観察すると、指全体の腫れによって指背の細かな横じわが消失し、まるで「ソーセージ」のように膨張している様子が確認できます。多くの患者はこの段階で「関節リウマチ」や「単なる手荒れ・むくみ」と自己判断しがちですが、指のしわが伸びきって皮膚に特有の緊張感(ツヤ)が出ている状態は、膠原病の初期像として極めて警戒すべきシグナルです。
さらに血流障害が長期化すると、強皮症の指先における潰瘍の写真に見られるような、指腹部の陥没瘢痕(ピッティング・スカー)や難治性の皮膚潰瘍が発生します。爪の付け根の毛細血管が破綻し、黒い点状の微小出血(爪上皮出血点)を伴うことも多く、指先に強い痛みを抱える原因となります。