「歯石が取れた」という知恵袋の投稿を真に受け、リステリンで歯石をふやかした後に市販のスケーラー(金属製の針状器具)を使って自分で削り取ろうとする人が後を絶ちません。ECサイト等で医療用スケーラーが安価に入手できるようになった影響もありますが、自宅で歯石を取る危険性は極めて高く、歯科医師会も強い警告を発しています。
訓練を受けていない素人が見よう見まねで器具を口に入れると、硬い歯石を削るつもりが、手元が狂って健康な歯の表面(エナメル質)を深く削り取ってしまいます。エナメル質に微細な傷が入ると、そこが新たなプラークや着色汚れの絶好の足場となり、かえって以前よりも歯石がつきやすくなるという本末転倒な事態を招きます。さらに深刻なのは、器具の先端が歯肉に突き刺さることによる歯周組織の挫滅や、傷口からの細菌感染です。最悪の場合、激しい歯肉炎を引き起こし、歯茎が下がって歯根が露出する原因にもなりかねません。
これに対し、プロに依頼する歯科医院スケーリング費用は、多くの人が想像するよりもはるかに安価です。日本の公的医療保険制度のもとでは、歯周病検査とセットで受ける歯石除去(歯周基本治療)は3割負担で約3,000円〜4,000円前後で受診できます。歯科医院では、毎秒数万回の微細振動を発生させる超音波スケーラーを用い、注水冷却しながら歯の表面を傷つけずに歯石のみを選択的に破砕・洗浄します。
歯石自体は毒素を出しませんが、その多孔質(軽石のようなザラザラした穴だらけ)の構造の中に無数の歯周病菌を抱え込み、安全なシェルターを提供し続けます。結果として歯肉炎歯周病予防を本気で達成するためには、セルフケアで無理をするのではなく、数千円を払って専門家に歯石を完全除去してもらうのが唯一絶対の安全ルートです。