ひとくちに「豚」と括っても、品種や飼育環境によって体組成のグラデーションは明確に分かれます。野生種から家庭用ペットまで、その実情を詳細に比較分析してみましょう。
まず野生のイノシシですが、その体脂肪率は春先から夏場にかけて10%前後、時には1桁台まで削ぎ落とされます。秋口にドングリなどの木の実を貪欲に食べて冬越しのためのエネルギーを蓄えますが、それでも脂肪率は13〜15%程度に留まります。生存競争を生き抜くために無駄な脂肪を削ぎ落とした、文字通りの天然アスリートです。
一方、近年ペットとして高い人気を誇るミニブタやマイクロブタには、現代的な課題が影を落としています。ミニブタは本来、実験用動物や小型品種として作出されたものですが、家庭で飼育される個体の中には、運動不足や人間用の高カロリーなおやつの過剰摂取によって体脂肪率が30%を超える「本物の肥満体」に変貌してしまう事例が獣医師から多数報告されています。
豚は本来、満腹中枢が鈍感で与えられた飼料を食べ尽くす習性を持っています。食用豚が引き締まった体型を維持できているのは、出荷までの短い日齢の中でプロの手によってカロリーと栄養が徹底管理されているからであり、ひとたび管理の手を緩めて飽食環境に置かれれば、人間と同様に内臓脂肪を蓄積してしまうリスクを孕んでいるのです。