インターネット上の質問掲示板やSNSでは、「ハサミで切り落とした」「市販のイボコロリ(サリチル酸製剤)を塗って取った」「木酢液や線香で焼いた」といった危険極まりない民間療法が散見されます。しかし、これらの自己処置は重大な医療事故に直結します。
第一に、脂漏性角化症はウイルス性イボ(尋常性疣贅)とは組織構造が全く異なります。市販の角質剥離剤はウイルス性イボの角質を軟化させる設計になっており、脂漏性角化症の基底細胞レベルの増殖病変を根治させることはできません。むしろ強力な酸によって正常な周囲組織まで化学熱傷を起こし、重篤な炎症後色素沈着(PIH)やケロイド状の瘢痕を残す結果となります。
知恵袋や医療相談窓口に寄せられる実例でも、「ハサミで切ったら動脈性の出血が止まらなくなり救急搬送された」「自己処置した部位が化膿して大きくえぐれ、イボの時よりも目立つ黒ずみが一生残った」という悲痛な声が後を絶ちません。最悪のシナリオは、自己判断で切除しようとした病変が実は早期の皮膚がん(メラノーマや有棘細胞がん)であり、物理的刺激によってがん細胞を血流やリンパ流へと播種(ばしゅ)させてしまう事態です。「自分で取れる」と謳う怪しいクリームや民間療法には、絶対に手を出してはなりません。