法令で明確に禁止されているにもかかわらず、なぜエンジンを切らないドライバーが後を絶たないのでしょうか。現場のガソリンスタンドスタッフへの聞き取り調査やSNS・知恵袋の投稿を検証すると、ガソリン給油エンジンかけっぱなし理由には共通した行動心理が浮かび上がってきます。
都内の大手セルフスタンドで危険物取扱者として勤務する店長(40代)は、監視カメラモニターを見つめながら次のように証言します。
「特に真夏と真冬に多いのが『同乗している小さな子どもや高齢の家族、ペットのためにエアコンを切りたくない』という理由です。『わずか3分程度なら大丈夫だろう』と軽く考えているお客様が多く、店内インターホンで停止をお願いすると不機嫌になられるケースも珍しくありません。しかし、給油レーンの空気中には目に見えない可燃性ガスが漂っており、隣の車からの引火事故も起こり得る環境です。万が一の事態が起きた時、車内に残された家族が最も大きな被害を受けます」
ネット上の掲示板やSNSの声を見ても、「プッシュスタート車に乗り換えてから鍵を回す感覚がなくなり、切り忘れたままノズルを差し込んでいた」「アイドリングストップ機能で一時的に音が消えていたため、停止していると勘違いしていた」といった無自覚な違反が頻発している実態が浮き彫りになっています。
セルフスタンドエンジン切らない危険性は、給油中の失火リスクだけに留まりません。エンジンがかかったままの車両は、給油中に運転席外から誤ってシフトレバーに触れたり、ペダル付近に置いた手荷物が干渉したりすることで車が急発進する「誤発進・引きずり事故」のリスクを常に抱えています。ホースが給油機から引きちぎられ、大量のガソリンが地面に流出して大爆発を起こした事例も過去に報告されています。