川畑重治が自らの手を汚してまで塚原を抹殺した理由、それは16年前の「三宅伸子殺害事件」の真実を完全に闇へ葬り、一人娘である川畑成実の秘密を守るためでした。
16年前、成実の実母である節子は、寿司職人の仙波英俊と不倫関係にあり、その結果生まれた子どもが成実でした。重治は成実が自分の血を分けた娘ではないと知りながらも、我が子として深い愛情を注いで育てていたのです。
しかし、当時生活に困窮していた仙波の元愛人・三宅伸子が成実の出自を嗅ぎつけ、節子を脅迫。当時15歳の中学3年生だった成実は、母を守りたい一心で伸子の部屋を訪れますが、口論の末、包丁で伸子を刺殺してしまいました。
血まみれの部屋に駆けつけた実父・仙波英俊は、成実の人生を守るため、驚くべき行動に出ます。自ら現場の指紋を拭き取り、包丁を持ち去ることで「自分が殺害した」と警察に出頭。一切の弁解をせず、16年間の懲役刑を受け入れたのです。仙波の動機は、実の父親として愛娘の未来を守るための自己犠牲に他なりませんでした。
出所後、仙波は末期がんで余命わずかとなっていました。当時仙波を取り調べた塚原元刑事は、「仙波は誰かを庇って冤罪を受け入れたのではないか」という長年の疑念を拭えず、仙波のルーツを追って玻璃ヶ浦の川畑家へ辿り着いたのです。重治は塚原の追及によって成実の犯行が暴かれることを恐れ、先手を打って塚原を口封じしました。