現代の日本の浴室で最も普及している凹凸パターンの床材。その代名詞であるTOTOカラリ床の白い汚れ対策は、ハウスクリーニング業界でも最大の難所のひとつとして知られている。
カラリ床や各社が採用する微細溝フロア(LIXILのキレイサーモフロア等)は、表面張力を壊して水を素早く排水溝へと誘導し、翌朝には靴下のまま入れる速乾性を実現した画期的な建材だ。しかし、この「速乾性」こそが白い汚れを加速させる両刃の剣となる。溝の底にわずかに残った水分が急速に蒸発することで、水に含まれるミネラルが結晶化して底面に定着しやすい環境を作り出してしまうのだ。
SNSや大手質問掲示板(知恵袋・5ch等)を調査すると、「メラミンスポンジで毎日力いっぱい擦ったら、数ヶ月後に以前より酷い白化現象が起きた」「金属ヘラで削ったら床のツヤが消えて汚れが落ちなくなった」という悲痛な手記が多数確認できる。大手住設メーカーの開発担当者は取材に対し「微細なエンボス加工の樹脂表面を硬い研磨材で擦ると、表面の親水性トップコート層に目に見えない無数のミクロ傷が生じる。その溝にカルキと石鹸カスが入り込むと、プロの機材でも完全除去が困難になる」と警鐘を鳴らす。
硬いブラシで力を込めてゴシゴシ擦る行為は、自ら汚れのポケットを掘り広げているようなものだ。樹脂を傷つけず、化学の力で汚れを浮き上がらせてから柔らかいコシのある樹脂ブラシで掻き出す姿勢が絶対の鉄則となる。