妊婦健診の診察室で、医師や臨床検査技師はモニターのどの部分を見て性別を判断しているのでしょうか。白黒の2Dエコー画像から読み取る判定ポイントには、男女それぞれに決定的なサインが存在します。
男の子の判定サイン:シンボルとなる「突起」と「タートルサイン」
男の子を見分ける最大のポイントは、両脚の間にある外性器の突起です。太ももの骨(大腿骨)の断面の間に、ツンと突き出たペニスと、その根元にあるふくらみ(陰嚢)が確認できると、男の子の可能性が極めて高くなります。超音波の角度によっては、ペニスと陰嚢のシルエットが亀の頭と甲羅のように見えることから、産科現場では通称「タートルサイン(亀マーク)」と呼ばれます。また、陰嚢のふくらみが木の葉のように見えるケースもあります。
女の子の判定サイン:「割れ目」を示す「スリーライン(コーヒー豆)」
女の子の場合、「男の子の突起が見えないから女の子」という消去法で判断すると誤診の原因になります。決定打となるのは、左右の大陰唇と中心部の割れ目が作り出す特徴的なエコー像です。両脚の間に白い線が並行して走る「スリーライン(3本線)」、あるいは割れ目がくっきりと影を作る「コーヒー豆」のような形状が確認できた段階で、初めて女の子と判定されます。
初期エコーの「ベビーナブ(Baby Nub)」判定とは?
妊娠初期(11週〜13週頃)の妊婦の間で、SNSを中心に話題を集めるのが「ベビーナブ」による性別予測です。これは胎児を真横から捉えた矢状断(しじょうだん)のエコー写真において、前述の生殖結節の突起が「背骨に対してどの角度で伸びているか」を観察する手法です。一般的に、背骨のラインに対して30度以上の角度で上を向いていれば男の子、30度未満でほぼ水平・平行であれば女の子と推測されます。欧米の研究論文でもその相関性が報告されていますが、国内の臨床現場では「胎児の背中の反り具合や測定角度によって大きく狂うため、医療的な確定診断としては用いない」というのが産科医の共通認識です。
立体的に映し出す「4Dエコー」の精度と限界
赤ちゃんの立体的な表情やリアルタイムの胎動を観察できる4Dエコー(リアルタイム3D超音波)は、2Dエコーに比べて外性器の立体形状を直感的に把握しやすいメリットがあります。しかし、「4Dエコーなら百発百中で性別がわかる」というのは大きな誤解です。4Dエコーは羊水が十分にあり、赤ちゃんの正面や股の間に障害物がない状態で初めて真価を発揮します。胎児が両脚を固く閉じていたり、あぐらをかいていたり、胎盤に顔や下半身を埋めている状態では、最新鋭の超音波装置であっても外性器を捉えることは不可能です。