ゆずの最大の魅力である清涼感あふれる香りは、黄色い外皮(フラベド)の表面に無数に点在する微細なカプセル「油胞(ゆほう)」に蓄えられています。この油胞に包丁の刃が触れて細胞がプチプチと弾けることで、精油成分であるユズノンやリモネンが一気に空気中へ揮発し、あの鮮烈な芳香が広がります。
しかし、切れ味の鈍い包丁で皮を押し潰すように切ってしまうと、せっかくのアロマ成分がまな板の上に流れ出してしまい、料理に移るはずの香りが半減してしまいます。また、皮の内側にある白いスポンジ状の層(アルベド)には苦味成分が含まれているため、ここをどれだけ薄く処理できるかが味の透明感を決定づけます。「油胞を潰さずスパッと断ち切り、苦味のワタを残さない」ことこそが、ゆずのポテンシャルを極限まで引き出す鉄則です。