島倉千代子の生涯を振り返ると、彼女の家族構成や生い立ちそのものが波乱の連続でした。品川の長屋で育ち、幼少期に負った左手首の重傷というハンディキャップを乗り越えて16歳でデビュー。若くして一家の大黒柱として家族を養い続けた背景があります。
結婚と離婚、子供との死別、信頼していた人物たちによる巨額の裏切り、さらには1993年の乳がん手術や晩年の肝臓がんとの闘病。幾重もの悲劇に見舞われながらも、彼女が国民的歌手として愛され続けた理由は、自らの痛みをすべて歌の説得力へと昇華させた生き様にありました。
2013年11月8日、75歳で旅立つわずか3日前、病床で最後のシングル「からたちの小径」を魂を込めて吹き込んだ姿は、まさに生涯を歌に殉じた真のエンターテイナーの姿でした。