京都のおでんを語る上で見逃せないのが、伝統的な京野菜や京豆腐を用いた独特の具材(タネ)のラインナップです。
じっくりと時間をかけて出汁を含ませた聖護院大根は、箸がすっと通る柔らかさで、口に入れた瞬間に豊かな旨味が広がります。さらに、モチモチとした食感が楽しい粟麩やよもぎ麩などの生麩、具だくさんでふんわりと仕上げられた自家製の飛龍頭(ひろうす)、幾重にも旨味を吸い込んだ湯葉巻きなど、京都ならではの美味が揃い踏みです。
これら繊細な料理の味わいを一層引き立てるのが、京都・伏見や洛中の地酒です。柔らかい軟水で仕込まれた「英勲」やキレ味鋭い「澤屋まつもと」などの純米酒を、出汁の温度に合わせたぬる燗で合わせることで、米のふくよかな旨味と鰹昆布の風味が口の中で見事に調和します。