目まぐるしく変化する情報社会において、SNSを開けば常に誰かの意見や鋭利な言葉が飛び交っています。そうした環境下で、作者・お文具氏が描き出すイラストやショートアニメーションは、多くの読者にとって「避難所」のような役割を果たしています。
お文具イラストが持つ最大の特長は、見る者に一切の緊張感を与えない線の柔らかさと、余白の美学です。多くのキャラクターコンテンツが「成長」「冒険」「劇的なドラマ」を描くのに対し、『お文具といっしょ』の世界で繰り広げられるのは、プリンを食べたり、何気ない言葉を交わしたり、ただそこに佇んでいたりするだけの穏やかな日常です。
臨床心理学の観点からも、過剰な刺激に晒された脳は、シンプルで角のない図形や淡い色彩に接することでリラクゼーション反応を示すことが知られています。何者にも急かされず、失敗しても「まあいいか」と受け止めてくれるお文具さんの姿は、完璧主義に疲れがちな現代人の自律神経を整える、視覚的なセルフケアアイテムとして機能しているといえます。